2009年04月13日

クラッチ

通りに出てみると何台のスクーターを見かけるのだろうか?
一昔前はおっちゃん達がおっさん臭くトットットと道を横切っていたけれど、今は今時の兄ちゃん達が思い思いのドレスアップを施して、それぞれのカッコでキメテ流している。中にはとんでもない爆音で音楽をかけていたり、GPSでTVを見ながら駆っている輩もいたりして、若者のエネルギーは留まることを知らない。

片手にピストルじゃぁなくて、
左手にクラッチレバーと方向指示スイッチ。
クラッチレバー.jpg

右手にスロットルと前輪ブレーキレバー。
スロットル.jpg

左足にギアチェンジペダル。
チェンジペダル.jpg

右足に後輪ブレーキペダル。
ブレーキペダル.jpg

うーん、よくこんなモノを動かしていると自分でも感心していたりします。これだけレバーやペダルがあると、いくら器用でもGPSでTVを見ながらの走行は出来やしませんぜ旦那。ましてワタシの愛機CL400はエンジンの始動が昔ながらのキック方式のみなので、クラッチミートで失敗して交差点でエンストしたりすると、えらいこっちゃと沢村忠顔負けのキックの鬼へと化身することになります。蹴とばす相手は人ではなくひたすらキックスターターペダルなのですが、こんな場面では焦ることもありまして、すると余計にエンジンの火入れが難しくなり、結局は単車から降りて道路の端に押してからかけ直すなんてこともあるものです。それでも懲りずにシートに跨がるのだから、キックオンリーの単車に乗る人とはなんなのでしょうね?

こんな単車に乗り始めて20年近くになろうとしているのに、ライディングが今もぎこちないのです。ワインディングロードでは車体を思ったように寝かせられないし、林道などの悪路では超低速走行になってしまう。これはスピードに目が付いていかないことが、咄嗟の判断力と瞬間的な身体の反射対応の自信を失わせていて、恐怖感が脳裏を支配してしまうためだと思います。だから持て余してしまうような危険スピード域には入りません。ひとたび入ってしまうと身体が硬直してしまって危険極まりないっすから。きっと端から見たら象亀のような走行をしているのかもしれませんが、それでも単車に乗っていると心が躍っているわけなのです。


そしてもう一台操作に歓びを感じてしまうエンジン付きの乗り物があったりします。
単車の世界がスクーター流行りのように、今では普通車の95%がオートマチックトランスミッションのようなのですけど、ワタシのところで待機しているのは操舵補助装置無し、4速手動変速機にて動かす古き良き時代にフォルクスワーゲン社が開発したワーゲンバス(レイトバス)です。1969年製ですからもう40歳になります。

こいつは床から生えているクラッチペダルを巧みに駆使してギアチェンジしながら速度を上げ下げしつつ、重たいハンドル操作に意識をとられすぎないように舵を取り、方向を転換させるのでありますね。

クラッチペダル.jpg
床から生えてます。

頭文字Dやサーキットの狼に登場してくるスポーツカーに比べれると運動性能は雲泥の差がありますし、現代の軽自動車と比較すればそのラクチン度合いはアンドロメダ星雲とすっぽん位は離れているでしょう。しかしです、このドライブフィールは秋田県の日本海で獲れるハタハタを食べた感じと言うのでしょうか?ちょっと油断出来ない味があるのです。初期型ザクのパイロットになったような気分かと。

最高速度は追い風7Mの平坦路においてアクセルベタ踏みで115km/hというところでしょうから、向かい風だったり、登り傾斜角度が若干あるとスピードメーターの針は上昇することを諦めて横ばいになります。また場合によっては下降することさえあります。ですから高速道路では大概は走行車線の一番左側をほぼ制限速度で走ります。追い越し車線なんて滅多に足を踏み入れません。タイミング悪くそんな領域に入ってしまいますと、渋滞を招いてしまうかもしれないですから。いつもそれくらい謙虚な気持ちでハンドルを握っているのですが、あれはユーミンの名曲でも歌われている<中央フリーウェイ>でのことでした。八王子を過ぎますと断続的な登りが多くなって来ます。アクセルを床にべったりと押し付けても時速80km/hをキープすることが出来ないという場所に遭遇です。譲り合いの気持ちは大事ですから、その精神で車体を走行車線の更に左側に用意されている登坂車線へとのせます。とどうでしょう、なんと後方から黒煙を巻き上げた大型タンクローリー車がその距離を少しずつ縮めてくるではありませんか。タンクローリーも走行車線では耐えきれなくなり、登坂車線に逃れて走っていたのです。バックミラーに徐々に大きく映ってくるその巨体がそれは恐ろしいモンスターのように見えてきます。とにかく「早く下り坂になってくれー!」と神様仏様に祈りながら手には汗がにじんできます。スティーブンスピルバーグ監督の処女作『激突』のシーンが頭の中を駆け巡ります。
レイトバスの尻にタンクローリーが張り付く寸前に登りの頂点を越えた時にはホッとしました。バックミラーに映るタンクローリーの巨体が少しずつ小さく小さく遠ざかって行くことへの安堵感。こんな経験が出来るのはワーゲンバスならではないでしょうか。

というようなことで、キックスターターオンリーの単車やワーゲンバスの購入をお考えの皆さんは、リスクを味わいや歓びに転換出来るかどうかをよく吟味されてからがよろしいかと思います。
「渋い!」とか「キャぁーかわいい!」という見た目だけで手を出したのではすぐに心が離れてしまい、長いおつきあいが出来ないものです。

では今日もクラッチ!


空冷車両.jpg



posted by Johnny-Dee at 09:02 | Comment(4) | TrackBack(0) | 鉄箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素敵です。
ヒューマンパワーステアリング&ヒューマンパワークラッチ!

25年以上前に国産のワゴン(タウンエース)を改造してホットロッド風にして乗っていた時があります。
もちろん全てマニュアルです。(笑)
その時の技がヒューマンパワーウインドウでした。
右手でハンドルを軽く(見えるように)持ち左手は右手の下からウインドウハンドルを回すという技です。
Posted by 溶接魔人 at 2009年04月13日 11:11
溶接魔人さん

素敵だなんて、ちっともうれしいなぁ。

あれはワーゲンバスに子供達を乗せて少年サッカーの試合場へ移動するときでした、子供の一人が「これ何?」と指すのです。「んっ!」とその指先を見たらヒューマンパワーウィンドウのハンドルがありました。子供に教えてあげたらクルクルクルクル廻す廻す廻す。「スッゲェー!」と感動されてしまいました。

ホットロッド風情のタウンエースとはイカしてるなぁ。
Posted by Johnny-Dee at 2009年04月13日 16:48
こんばんは。
交差点でエンストしたら恥ずかしいですよね。僕は「何だよ!ガス欠か!」っていう演技を背中で醸しだすのが抜群に上手くなりました(笑
キャブのスローをちょっと調整すると、発進時のトルクが厚くなって乗りやすいです。
パネル、現役なんですね。うちの69バリアントはナンバー切りました。修理の度に手が入って、クランクから別物になって…メーター1周してました。根性があれば(笑 真っ直ぐ走らないんですもん。
アシストステップ、ちょこちょこ作ってますんで…
Posted by mori at 2009年04月13日 23:00
moriさん

背中で醸し出す。これは参考にさせてもらいます。W

ヨシムラのサイクロンマフラーに替えて、下はやや太くなったように感じているのですけどね、もうすぐ車検でして、果たして通るか否か・・・

バリアントは引退されましたか。パネルはオイル漏れがちょっと気になるんですけど、これを直すにはエンジンをおろさないと出来ないので様子見です。

アシストステップ、楽しみにしてます。
Posted by Johnny-Dee at 2009年04月14日 08:09
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